【おすすめの投資本】資産運用の本質

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今回ご紹介するのは、アンドリュー・アング著「資産運用の本質」です。
著者はコロンビアビジネススクールの教授で、数々の金融機関や投資機関のコンサルタントをしています。

アマゾンの紹介文から


いま世界で注目されるファクター投資を理論的・実践的に解明し、資産運用の本質を再確認する。
様々なリスクをどのように理解し対応すればよいのか、自らの資産をどこにどのように投資すればよいのか、アセット・オーナーの観点で解説。
欧米で絶賛された気鋭の研究者による本格論考、待望の日本語版刊行!


この本、非常に高価です。
単行本で9180円、kindle版でも8262円もします。
レビューも1件しかありません。(ちなみに米国アマゾンでは16件のレビューがついています。ほとんどが星4か5です。)

私もさすがに購入を迷ったのですが、読んでみて、本当に買って良かったと思いました。(ちなみにkindle版です)
著者の投資に対する知見は、非常に深いです。
序文はこの文章で始まります。
「投資において最も重要な言葉は”bad times(悪環境期)”である。」
悪環境期こそがリターンの源泉である、とういうことがこの本の基礎であり、一貫したテーマになっています。

引用を続けます。
「悪環境期には、好環境期に意気揚々と感じるよりも何倍もの苦痛を受ける」
「それぞれの投資家にとっての悪環境期とは、投資家の負債状況、収入状況、制約条件や信念などによって決まる」
「最適なポートフォリオ配分とは、投資家の悪環境期が考慮されたものであり、リスクをとることなくしては得られないファクター・プレミアムという見返りを得る代わりに、その悪環境期のリスクをとろうとするものである」

著者はポートフォリオをこのように定義し、悪環境期に堪え、リターンを得るための詳細な理論・説明を3部に分けて展開していきます。

第1部 「アセットオーナー」
アセットオーナーは自身の悪環境を認識する必要がある

第2部 「ファクター」
ファクターは悪環境期の損失に対する見返りとしてのプレミアムをもたらす。ファクターが重要であり、資産クラスのレベルが重要なのではない。

第3部 「委託ポートフォリオ運用」
委託先のマネージャーがさらなる悪環境期の組合せをもたらさないか、注視すべきである。

正直、第3部はあまり読まなくても問題ないと思います。年金基金などが投資を外部機関に委託する場合を想定しているので、個人投資家には参考になるところは少ないような気がします。
また、この本は恐らくプロ向けだと思われるので、数式がたくさん出てきたりして、なかなか難解です。

しかし内容は本当に充実しています。
例えば、
○「自分という資産」のトピックでもお話しした、労働所得を資産として捉える、という考え方
○平均・分散投資のシミュレーション
○リスク回避度γの算出方法と、リスク回避度に対応した株式カテゴリーへの投資比率の決め方
○ライフサイクル投資について(よく言われる株式投資比率100-年齢 という考え方について)
○リバランスの有効性、また効果的なリバランス方法
○インデックス投資のパフォーマンスを上回るための”アルファ”について(アクティブ運用や機動的ポートフォリオ運用)
○インフレと各資産の相関(著者はインフレに対して最も効果的な資産は短期国債であると言っています。金は意外とインフレ対策にはならないそうです。)

などなど、非常に濃い内容です。

リスク回避度γの項目などは、とても面白いですよ。
「リスク回避度は富の大きさにかかわらず同じである」
と定義し、その数値は次の問いに答えることで分かります。

「ある宝くじがあります。この宝くじでは1000ドルもらえる確率が50%、500ドルもらえる確率が50%です。さて、あなたはいくらならこの宝くじを買いますか?」

最低でも500ドルはもらえます。数学的に考えると、750ドルが公正な価格になります。
あなたの答えとリスク回避度γの関係は、次の表のとおりです。

リスク回避度γ 支払う金額(ドル)
0 750
0.5 729
1 707
2 667
3 632
4 606
5 586
10 540
15 525
20 519
50 507

γの数値が高ければ高いほど、リスク回避的ということになります。
このγによって、ポートフォリオにおけるリスク資産の割合が変わります。
(ちなみに私はリスク回避度3でした)

この他にも様々な理論が紹介されていて、投資理論を勉強するには、これ一冊で十分ではないかと思うほどです。
私は、普通レベルの投資本を5冊読むぐらいなら、この本を5回読んだ方がいいと思っています。

分厚い本なので、通読するのは大変ですが、気になる項目だけを拾い読みするだけでも勉強になります。
私はこの本を辞書のような感じで使っています。
例えば金に投資しようと思ったら金の項目を読む、みたいな感じです。
悩んだ時に読めば、しっかりとした経験に裏打ちされた手ごたえのある文章に出会うことが出来ます。

この本は私にとって、今後何十年も長期投資していく中で、羅針盤のような働きをしてくれると思っています。

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