複数の特定口座を活用する

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前回の記事で、安間伸著「ホントは教えたくない資産運用のカラクリ投資と税金編2016」という本をご紹介しました。

長期投資をしていく中で、知っておくと有利になる様々な税制について、分かりやすく説明してくれる良い本です。

前回は投資会社についてお話ししていたので言及しなかったのですが、この本の中で非常に面白いアイデアを紹介してくれています。
このアイデアは、私も全く気付いていませんでした。

それが「複数の特定口座(源泉徴収口座)を活用する」方法です。

特定口座源泉徴収ありを選択すると、基本的に確定申告は必要ありません。
しかし、損失のみで利益が出ていないまま年を越すと、その損失は繰り越すことが出来ません。
そこで確定申告を行うと、3年間その損失を繰り越すことが出来ます。

例をあげます。(税率は本来20.315%ですが、ややこしくなるので20%とします)

1年目 年初2000万投資→年末1000万に評価額減少
売却して損失を確定し、確定申告する

2年目 年初にすぐに同じ資産を買い戻し、さらに1000万追加投資
年初2000万→年末4000万に上昇

さて、この2年目の終了時点で利益は2000万。
特定口座で確定申告しなければ税金は

2000万×20%=400万

になります。

そこで、繰り越した損失を利用するために確定申告します。
すると

(2000万-繰越損失1000万)×20%=200万

になり、めでたく200万税金が安くなりました。

しかしここで盲点があります。

「確定申告すると利益分は総所得に含まれるという点です。

給料所得が500万だとします。
今回の例でいえば、500万+売却益1000万=1500万が総所得とみなされます。

もちろん売却益への税金は分離課税ですので20%なのですが、総所得が増えるとデメリットがあります。

SMBCフレンド証券のサイトで、表にまとめたものが掲載されています。

項目 影響が出るケース 65歳未満 65歳以上
70歳未満
70歳以上
世帯主 配偶者・扶養親族 世帯主 配偶者・扶養親族 世帯主 配偶者・扶養親族
配偶者控除・扶養控除 所得が一定水準を超えた場合
国民健康
保険等
保険料 所得が増えた場合
医療費の
自己負担
割合
所得や収入が一定水準を超えた場合
介護保険 保険料 所得が一定水準を超えた場合(段階的)
介護保険の
自己負担
割合
所得や収入が一定水準を超えた場合

上記の例だと、まず配偶者の扶養に入っている方なら扶養要件から外れてしまいます。
また、国民健康保険料は大きく上昇するでしょう。

もし70歳以上なら、医療費の自己負担率が1割→3割になり、自己負担限度額が上がります。
介護保険料も負担率が1割→2割に上昇します。

アーリーリタイアしていたら国民健康保険に加入しているでしょうから、特に国民健康保険料が上がるのはダメージが大きいです。

特定口座を2つ使えば、これを避けることが出来ます。

先ほどの例で1年目に損失1000万を表面化し、確定申告して繰り越すまでは同じだとします。

2年目
特定口座A 1000万を再投資
特定口座B 1000万追加資金で投資

特定口座A・Bで投資している資産は同じものです。例えば「たわらノーロード先進国株式」など。
これが2倍になったとします。

特定口座A 1000万→2000万 利益1000万
特定口座B 1000万→2000万 利益1000万

で当然同じ含み益1000万があります。

そして
「特定口座Aは確定申告し、繰越損失と通算する」
「特定口座Bは申告不要制度を使う」
のです。

特定口座A 確定申告 利益1000万-繰越損失1000万=0 税金無・総所得への加算無
特定口座B 特定口座にて源泉徴収 利益1000万×20%=税金200万

特定口座Bの利益は、申告しないので総所得に加算されません
最初の例と支払う税金は同じですが、総所得の上昇に伴うデメリットを避けることが出来ます。

安間さんは「分離課税を謳っておきながら合計所得金額に影響を与える税制がそもそもおかしい」と述べていますが、その通りだと思います。

しかし残念ながら現状はこの税制なのですから、対応していくしかありません。
そんな中で、この「特定口座を複数活用する」スキームは非常に有効だと思います。

全世界に投資する投資信託に、超長期で積立していると、最終的に含み益が膨大になる可能性があります。
引退してから現金化して、総所得の上昇で余計な不利益を被ることは避けたいものです。

2つか3つの特定口座に分散して投資することで、リスクヘッジできます。
私も現在「たわらノーロードシリーズ」を積み立てていますが、証券会社を分散して投資していこうと思います。

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